クレモナはクラシックを得意としたスピーカーですが、ジャズは勿論の事、ロックやポップス等、オールジャンルの音楽を偏りなく鳴らそうという難易度の高いテーマに向けて、T.Sさんとは二人三脚で3年がかりで取り組んで参りました。
インシュレーターに始まり、オーディオラック、電源、ケーブル等を、細部にわたるグレードアップは数え切れないほどで、その都度丁寧に時間を掛けてセッティングしてきましたので、かなりの状態までになりました。
これ以上やる事はないというぐらいやりましたが、案の定というか、その頃からある種の限界が見えるのを感じていました。
簡単に片付けてしまえば、聴く音楽からして選んだスピーカーにそもそも無理があったというのが本音です。しかし、そうした無責任な言い方は出来ませんので、言葉よりも実際に証明してお見せしようと、私は他方でオールジャンルO.Kのスピーカーの開発にオーディオ人生を掛けるぐらいの意気込みで取り組んでいました。
それは、T.Sさんの為に開発を始めたと言っても過言ではありません。言うなれば、オーダーメイドのスピーカーみたいな物です。聴かれる音楽からして私と共通するところが多く、そのプロトタイプが出来た時に一度東京試聴室で聴いて頂きました。結果はかなりの好感触でした。
それから、半年ぐらいでしょうか、完成したスピーカーを聴いて頂くと、大変素晴らしいと言って頂き、即注文を貰いました。
今まで徹底して手を入れていましたので、スピーカーの納品と言っても何もすることはありません。サウンドステーションの上に載せて音を聴きながら微妙に位置調整するだけです。
こんな楽な仕事はありません。根こそぎ鳴り方が違っていて、とにかく音がリアルで生々しいです。
『素晴らしいスピーカーを有難う』と喜んで頂けました。